長谷川君には屈しないっ!
逆ギレする私に対し彼は離れた私との距離を一歩つめて答える。


「それなら、俺が特訓してやろうか?」


長谷川君の挑発に対し、反論する言葉を言ってやろうと思った。


が、しかし。


どんどん距離を縮めてくるため、後ずさりしていると、背中に固く、冷やっとした感触を感じた。


お察しの通り、壁際まで来てしまった私はその場にとどまる。


逃げられない…っ。


「手取り足取り、優しく教えてやってもいいけど?」


「け、結構です…っ」


長谷川君はさらに距離を詰めると、そのなんとも整っている顔を私の耳元に持ってきて、そう呟いた。


その瞬間。


「……っ///」


距離の近さゆえなのか、不覚にも心臓がドクンと跳ねてしまった。


なんで長谷川君なんかにこんなにも自分が動揺しているかはわからないが、再度長谷川君を睨みつけると、彼は不敵に笑いながら口を開く。


「前も言ったけど、そんな上目遣いで見られても俺は落ちないけど」


「なっ……!///」


耳元から顔を離した長谷川君は、意地悪にそう言うと、距離を元に戻した。


「私が長谷川君を好きになるなんて絶対ありえないんだから!」

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