長谷川君には屈しないっ!
グッと背伸びをして一息ついたところで、まだ帰ってくる気配のない長谷川君を待つため、持ってきていた参考書を開く。


そう、長谷川君はあくまでライバルなのだ。


なんとしてでも次のテストは一位をとりたい。


『万年2位』なんてもう呼ばせないんだから…!


「…よしっ」


そう意気込んで参考書に熱い視線を向ける。


すると、勉強モードのスイッチが入り、周りの音が聞こえなくなる。


こうして、ガリ勉モードを発動すること15分。


ジャリっと公園の砂を踏む音が響いた。


当の私はと言うと、集中のあまりその音に気づかず、未だ参考書の内容を頭に詰め込んでいる。


そして、そのページの日本史の年代をある程度覚え、次のページに差し掛かった時。


「……ひぇっ!?」


いきなりにしては刺激が強いほどの冷たさが
頬に伝わってきた。


突然のことに私は肩をビクッと揺らす。


そして、やった本人がわからないでもないが、視線の端に見える足元は今日嫌という程連れまわされた張本人様だ。


視線を頭上に向けると、そこには案の定意地悪気な表情をした彼の姿があった。


「はーせーがーわー!」


怒りのピークに達した私がそう言うと、彼
は私の言葉に影響されたのか、一歩後退する。


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