長谷川君には屈しないっ!
***


その後、本人に事情を説明すると、


『は?』


『だから、あなたに執事役の代役をやって欲しいのよ!』


『面倒い、パス』


案の定最初は断られた。


こっちの必死さを分かろうともせず、初っ端から話を折られ、堪忍袋の緒が切れる寸前だった。


が、それを出かかったところで無理くり押し込め、クラスのみんなの説得もあり、なんとか承諾を得た。


今回、メイド役に立候補(大半が男子生徒の推薦ではあったが)してくれた佐々木さんも、学年で美人と噂されるほどの期待株だとか。


そういったことについては、無知である私はあらかじめ配役はクラスの人たちに決めてもらった。


結果的に、学年でイケメン、美人と言われているツートップがペアになってくれたということだ。


これはうちのクラスとしては、文化祭の最優秀賞を貰える可能性がぐんと上がり、みんなのやる気もさらに活気を増していた。


緊急事態もどうにか対応が完了し、いよいよ1週間と迫った文化祭に向け委員会の方も一段と忙しくなってきていた。


その日の放課後、クラスでは最終の衣装チェックが行われた。


委員会の仕事を切り抜け、クラスの様子を見に来ると他クラスの女子たちが、教室ドア付近に群がっていた。


クラスの中に入ろうと試みるが、あまりの人混みに一般の女子高校生より少し、ほんの少しだけ小柄な私は教室の中を覗くことができない。


こうなったら…!
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