長谷川君には屈しないっ!
だからこそ、そんなやつにテストだけでも勝ちたいのだ。
睨み続けながら、警戒心をフルで発動していると、長谷川君はフッとあざ笑うかのようにその笑いを吐き捨て、自分の教室へ向かって行った。
なんなのあいつー…っ!
***
屈辱の中間テストの結果発表から数日後、季節は文化祭の話題で持ちきりだ。
「じゃあ、うちの文化祭の実行委員きめんぞー」
担任がなんとも気だるそうにそう言うと、クラスの空気の熱量がさらに増した。
私は自分には関係のないことだとすぐに切り捨て、単語帳を開いた。
勉強ばかりしてきたせいか、友達と呼べるような人はこの学校にはいない。
そのため、私には文化祭や体育祭といったイベントはただの面倒な行事でしかない。
それより、次の期末テストに向けて勉強に励まなくては。
視線を視界の右端に移すと、私の右前には因縁のライバル、長谷川光輝の姿がある。
机に肘をつき、夢の世界へ行っているようだ。