長谷川君には屈しないっ!
ー方私は、地球の重力に抗うことなど到底できず、更に体が前方へと投げ出される。
男子生徒が渋々と行こうとする生徒の背中を押し、教室のドアに近づいたその時。
ドサッ。
私は男性生徒を巻き込み、倒れてしまった。
数秒の静寂後、先に口を開いたのは男性生徒の方だった。
「……痛って」
目を固く瞑っていた私は、その呟きではっと我に帰った。
恐る恐る目を開いてみると、目の前には白色の生地だけが視界に入った。
ん…?
状況整理が追いつかない私は、顔を上の方へと向けた。
「………!」
すると次に視界の全域に入ってきたのは、長谷川光輝の顔だった。
息をすれば相手に触れてしまいそうなほどの距離。
思わず私は息を飲んだ。
よくよく辺りを見れば、私は長谷川君を下敷きにする形で倒れ込んでいたのだ。
近すぎる距離に、さすがの私も心臓の鼓動が早くなる。
「……っ!」
ドキドキとうるさい心臓の音に自分でも驚きを隠せない。
そして、心なしか顔も熱く なってきたように感じた。
なんで…私…っ。