長谷川君には屈しないっ!
「ほら、ちゃんと抵抗しないと」


「わ……っ」


グイッ。


更に距離が縮まる。


「俺が食っちゃうよ」


長谷川君がからかうように耳元で囁く。


こんな距離じゃ抵抗したくても、できないじゃない!///


「顔真っ赤」


流石に今、自分の顔の顔が熱を帯びているのは理解していた。


そのためか、そのことをさらりと言われ、私の赤面具合は最高潮に達した。


「う、うるさいっ。仕方ないでしょ!」


「何が仕方ないわけ?」


「っ……!」


「あ、もしかして。ドキドキしてる?」


「そんなわけ……!///」


ない。


誰があんたみたいなやつに!


そう心の中で叫び、もう一度その腕を振りほどこうとした私……だったが。


「いい加減、離しなさっ「少しだまっとけ」」


次の瞬間起きたのは、腕の力からの脱出ではなく一瞬触れるだけのキスだった。


……!


教室の外にいた群がりからすさまじい悲鳴が発せられた。


でも、そんなことは私の耳には全くもって入ってこなかった。


頭が真っ白になり、時間が止まったように感じた。


今、何が起きているのか、


なにも考えられなくなった。


触れ合っている間が何十秒にも感じられたその一瞬が終わり、長谷川君の唇が離れる。
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