長谷川君には屈しないっ!

すると、先生から来場者用の冊子が足りないとのことで、予備のものを取りに行くよう支持された。


人混みを掻き分け、校内の予備の冊子が置いてあるところに着いて一息ついたあと再び走り出す。


運動能力が皆無な私にとって走ることは、一番体力を消耗する。


「はぁ、はぁ」


それでも、死に物狂いで足を動かした。


本部までの最後の曲がり角を曲がった時だった。


ドンッ!


何かにぶつかった衝撃とともに、私は盛大な尻もちをついた。


「……いてて」


勢いよく打ち付けたお尻からじわじわと痛みが押し寄せてきて、手でさする。


「大丈夫?」


すると、頭上から声が降ってきた。


目を向けると、見知らぬ男子生徒が手を差し伸べてくれていた。


「ごめん。あんま前見てなくて」


「あ、いえ!こちらこそすいません。私も不注意でした」


差し伸べられた手を若干躊躇しながら頼る。


私が立ち上がると、ちょうど同じ目線くらいに彼の顔があった。


しかし、逆光になって顔がよく見えない。


「あ、すいません。俺、タメ口で…」


立ち上がった時にリボンの色を見たのか、よくよく見ると男子生徒は青のラインが入ったネクタイをしている。


「気にしなくて平気ですよ。助けてくれてありがとうございます」


そうお礼を言って頭を下げ、再び男子高校生の顔ると、


なんと美形なことだろうか。

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