長谷川君には屈しないっ!
イケメンについて無知な私でさえ、この生徒のことを自然とイケメンだと思った。


「あの、僕の顔に何か付いてます?」


「…つ、ついてません!」


男子生徒に言われてハッとした私は、急いで顔の方向をそらす。


イケメンのあまり、まじまじと見てしまった。


「じゃあ、失礼します」


すると男子生徒はその言葉とともに私の横を通り過ぎていった。


今の人といい、長谷川君といい、世の中には私とは別世界の人がいるものね。


なんて柄にもなく思ったりした。
















光輝side



シフトの時間に外を出ると、俺の周りには人だかりができていた。


まぁ、いつものことではあるが、一番気になるのは、


「長谷川君ってわりとみんなに塩対応なんだね?」


そう笑いながら、何かと体の距離を縮めてくるコイツ。


佐々木とか言ってたっけな。


学年で美人だとかおしとやかだとか言われてるけど、口だけかよ。


「さぁな」


「でも、長谷川君と隣に並んで釣りあえる人もなかなかいないよねー」


1時間交代のシフトだけど、開始20分にして俺は痺れを切らしていた。


まぁコイツも顔だけは確かだから、宣伝効果には結構なってると思う。


そんなことを思っていると、佐々木がわたあめを食べたいといい出したため、渋々とついていく。


「私ちょっと買ってくるねっ」

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