長谷川君には屈しないっ!
俺と李央の温度差は無視するとして、そろそろ男子の順番が回ってくる。


俺は3番目に出ることになっているが、心底出たくない気持ちでいっぱいだ。


そもそも、俺がこのコンテストに(強制的に)出ることになったのは、バスケ部員がこのコンテストの景品に喰いついたからだ。


このコンテストでグランプリに選ばれると、2ヶ月分の学食無料券がもらえる。


だから、先輩やら同級生のやつやらがただ〔昼食代を浮かしたい〕&〔部活後の空っぽの胃袋を心置きなく満たしたい〕という欲望を満たすためだけに俺は使われたってわけ。


「それでは、続きましてエントリーNo.3!“完璧王子”の異名をもつ我校屈指のイケメン!長谷川光輝ー!」


「…」


「光輝?」


「特技はバスケ。このコンテストで優勝しないと先輩たちにしばかれるんで、投票よろしく」


必要最低限のエネルギーの消費で言い終えると、客席の女子生徒の声が一層大きくなった。


そのあと、特技の披露では李央と数分間1on1を行い、俺が5ポイント差を付けたところでステージを捌けることとなった。


「もっとやる気出せよ光輝ー」


李央は、ステージ裏に戻るなり不満げな表情を浮かべた。


「お前にはあれぐらいで十分」


「くそー。反論したいけど、お前強すぎんだよなー」


李央はこう言ってるが、俺は確かに技術面では優っているがこいつの体力は底知れないものがある



「長谷川君」


背後から名前を呼ばれて振り向くと、そこには佐々木瞳の姿が。


なんだ?
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