長谷川君には屈しないっ!
抵抗力40%
私の気持ち
side実子
なんだか、体がふわふわした。
足が浮いてる感覚。
変な感じ…。
でも、心地よい揺れに思わず気が緩む。
体の周りからほのかに伝わってくる温もりに、眠気が襲ってくる。
なんでだろ、すごく眠い。
まだやらなきゃいけないことが残ってた気がするのに…
そう思っていたのもつかの間、私の意識は再び遠くへ行ってしまった。
体に少しひんやりとした感覚を感じ、意識が朦朧とするなか重たいまぶたを開く。
焦点がまだ定まらない視界に人らしきものが見える。
そして、だんだんと明確になっていく視界に映ったのは、
「長谷川君…?」
紛れもなく長谷川君だった。
これは夢…?
委員会の方には来れないって言ってたのに。
夢だからなんでもありなのかな。
聞こえるか聞こえないかの声で呼んだ名前に、長谷川君が振り向く。
きっと、最近長谷川君のことばかり考えていたせいだ。
あのキスの事件以来、私の頭には『長谷川』という文字がこべりついていた。
恋人でもない私になぜあんなことをしたのか。
恋愛なんてしたことのない私にはさっぱり分からない。
長谷川君みたいなモテる男子なら、キスくらい好きじゃない相手でもできるのだろうか。
「地味子」
夢にしてはリアルな声でそう言われたとたん、胸が鳴った。
またこの感覚…。