長谷川君には屈しないっ!

悔しいけど、寝てはいても美形な顔立ちは変わらず、その姿さえも絵になるようだった。


窓が少し空いていたのだろうか。


どこからか風が流れてきて長谷川君の髪を揺らした。


その風に乗るようにして私の手も長谷川君の髪の元へ無意識に動く。


若干のためらいを含みながら髪の毛に触れると、ワックスなどを付けていないサラサラの髪が指を伝った。


その感触が心地良くて、もう一度髪に触れる。


寝顔のあどけなさに思わず笑みが溢れた。


心なしか、胸のあたりがすっきりした気がする。


なにかいい夢でも見たのかな。


「なに笑ってんだよ」


寝ていたはずの長谷川君から声がした。


いきなりのことに驚いた私は慌てて腕を引っ込め、


「起きてたの…!?///」


そう叫んだ。


「寝込みを襲うとかいい度胸してんじゃん」


「…っ!///」


そう言うと長谷川君はむくっと起き上がり、距離を縮める。


なに…?


いきなりの至近距離に、驚いた私は思わず目を瞑る。


パチンッ。


「いたっ!」


そしておでこに訪れた鈍い痛みが走った。


…デコピン?


とっさにおでこに手を当てると、痛みがじわじわと押し寄せてきた。


「誰かに連絡くらいしろよな」


その言葉を聞いて何かが引っ掛かった。


そもそも、なんで私保健室にいるんだっけ。


……何か、


大切なことを忘れている気がする。


そして考えること数秒。


……あ!


「委員会!」
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