長谷川君には屈しないっ!
抵抗力20%
マドレーヌ事件
翌日。
昨夜なかなか寝つくことができずいつもより遅い時間に登校することになった。
いつも通り上履きに着替えて教室に向かおうと、歩き出した時だった。
視線の先に、おびただしい数の女子生徒が校内掲示板の前に群がっていた。
もはや学校中の女子生徒全員いるんじゃ…。
「え、どうしよ!やばいんだけど!」
「まじで!?こんな機会滅多になくない!?」
「私立候補しようかなぁ」
「こんなの、やらないわけにいかないでしょ!」
女子生徒の弾んだ声がこっちの方まで聞こえてきた。
疑問には思ったもののさほど興味もなかったのでそのままスルーし、教室へ向けて再び歩き始めた。
席に着いても、クラスの女子も何だかずっとはしゃいでいるようだった。
そんな日が2日ほど続き、金曜日を迎えた。
昼休み。
お弁当を食べ終えた私は、今日が返却期限の本を返すため図書室に向かっていた。
図書室に着いて本を返却し終え、次に借りる本を探すために図書室の奥の方へ行く。
前回は小説を借りたから、今日は何にしようかな…。
そんなことを考えながら本棚の列を歩いていると、誰かから呼び止められた。
声のする方へ振り向くと、そこには風間君の姿があった。
ペコっと頭を下げ、今日はどうしたんですかと尋ねる。
「本を返しにと、新しいのを借りようと思って来たの」
そう答えると、少し考えるような仕草を見せたあと、ふと何かを思い出したような表情を見せた。
「この間言ってたシリーズの新作、ありますよ」
落ち着いた声色で借りますかと尋ねる風間君にすぐに返事をし、カウンターで手続きをする。
「どうぞ」
「ありがとう。今日はひとり?」
「はい。もう1人はサボりです」