長谷川君には屈しないっ!

そう言われてみると確かに、図書委員は役委員の中でも人気のない役職だから、サボる人も多い。


「真面目なんだね」


「いえ、俺は別に」


「でも風間君仕事も丁寧だし、手際もいいし、ほんとえらいよ」


「そういえば先輩も、光輝先輩と文化祭委員やってましたよね」


風間君の口から長谷川君の名前が出た時、思わずドキッとした。


ここ最近、色んなことがありすぎたため意識しないようにしていたのだ。


「先輩?」


「あ、あれはくじでね!長谷川君なんて来ても寝てばっかだったし…」


プリントの件に関しては助けられたけど。


…あと、私を保健室に運んでくれたことも。


「ちなみに、朝練の時も眠いってずっと言ってますよ」


クスッと笑みを見せながらそう言う風間君。


私もそうは言いながらもちゃんと練習をする長谷川君の姿が脳裏に浮かび、思わず笑みが溢れた。


「でも、それくらいバスケを頑張ってるってことよね。長谷川君って努力家なのかも」


「光輝先輩はああ見えて、俺たちの知らないとこで練習してるんだと思います」


そう言うと風間君は「でも」とその後に続けた。


「バスケがうまくて勉強もできるなんて、本当にずるい話ですよ」


「分かります…。私もずっと長谷川君にテストで負けてばかりで」


でも絶対次のテストこそは絶対に抜かすんだから!


「羨ましいです」


そう呟く長谷川君への憧れの眼差しの中に、どこか寂しげな何かを感じた。


「でも風間君もすごいと思う。藤木君も『1
年の中でも特に上手い』って褒めてました」


そう言うと少し間を置いたあと、風間君はありがとうございますと少し照れた表情を見せた。


「それに私も、部活も委員会も頑張ってる風間君は素敵な人だなって思います」


「…!」


「色んなことを頑張るのは大変だもの」
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