空からの涙
もう、後悔はしたくないんだ。

やっと前を向いて歩けるようになったんだ。

『だったらしっかり進め!』

舞ちゃんがいたら、思いっきり笑ってこうやって言ってくれたかな。

私は少しだけ空に向かって微笑んだ。

「今の柚姫になら、渡せるかな……。」

智尋は机の引き出しから何かを取り出す。

……?

「舞ちゃんからの手紙。柚姫がちゃんと自分に向き合えたときに渡してほしいって……。俺の所に届いたんだ。」

舞ちゃんから…私に?

私は唾を飲んで少しだけ震える手を伸ばして手紙を受け取った。

この中には……何が詰まっているんだろう。

知りたい……。

でも私は開けるのに戸惑っていた。

「智尋、私……。」

視線を手紙から智尋に移す。

「読むのは今じゃなくてもいいんじゃねぇ……?俺は渡しただけだから。」

私はうつむきながら頷いた。

「じゃあ、俺下行くわ。柚姫も部屋戻ったら?」

「…うん。」

智尋の後をついて部屋の外に出た私は階段へ向かう智尋とは逆へ歩く。

『ガチャ』

「………ふぅー…」

大きな溜め息が出る。

私は自分のベッドにダイブして舞ちゃんの手紙を見た。

「どうしよ…」

今開ける?

それとも開けない…?

でも、智尋は前を向けた私に渡してくれたんだ。

……今、開けよう。

私は深呼吸をして、手紙の封筒を開けた。


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