空からの涙
柚姫が指差したのは恋愛もの。

今CMで話題になっている映画だ。

「じゃ、それにしよっか。」

上映時間まで40分くらい……。

チケットを買って近くのベンチに座った。

「和詩!」

「ん?」

急に呼ばれたことに少し驚きつつも自販機で買ったミルクティーを柚姫に渡す。

「ありがとう!」

「いいえ。それで、どうした?」

「あのね?今度さ、お祭りあるじゃん?一緒に行きたいなぁって…」

祭り…?

毎年やってる夏祭り、だよな?

「いいよ♪それにさ~俺、柚姫以外と行かないし?」

柚姫じゃなかったら行かないと思う。

だから去年も行ってないな……。

「何か今からお祭り楽しみだなぁ……」

「そだな♪柚姫は浴衣着て来る?」

柚姫の浴衣姿、すっげぇ可愛いと思う。

「浴衣!?着ない、着ない!絶対着ない!」

断固拒否…?

「何で~?俺は着てほしいけどなぁ……」

「似合わないし、浴衣。」

いやいや。絶対似合うって。

……でも柚姫が浴衣来たら男が寄ってきそう。

なら着ない方が…。


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