空からの涙
「話って………なに?……」

手足が震える。

「調子乗ってんじゃねぇよ?……………柚姫。…………………?」

「な………何…?」

「携帯。…貸せ。」

携帯は……プリクラが貼ってある。渡したら、剥がされる。

「嫌だよ。」

…………………………
…………………………

「はぁ?あいつら……どうなっても、いいのかよ。」

あいつら……って………和君たち……?

「今見てなかったのかよ。アタシ、本気で殴るから。」

それだけは嫌だ。

「わかっ……た。」

ゆっくり、鞄から携帯を取り出すと、苺は素早く私の手から取った。

「こんなとこに貼ってよ……和詩君にも良い迷惑だっての。」

『ビリッ』

プリクラは呆気なく取られた。

『ビリッ……ビリッ』

細かくされて。

もう、

後戻りは

できなく

なってた。

「お前の携帯持ってんのも、嫌だっての。」

『ガチャン』

苺の手から離された携帯は勢い良く、地面に叩きつけられた。

さっきまで、プリクラが貼ってあった電池パックの蓋がとれて、電池パックが外に飛び出して

……………
携帯の電源は
切れた。

「手ぇ洗ってこよ~!じゃーねぇ♪」

スキップしながら帰る苺の後ろ姿を、睨むことしかできなかった。


…泣いた…

声を押し殺して泣いた。

携帯もそのままで、過ぎ行く人が私を見ていくけど、そんな目線も気にならなくて………

「柚姫!」

…………………………………………私の大好きな声がした。

「和君………ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんな……さ…………い」

「柚姫。何かされたか?怪我してないよな?」

「怪我………したのは、和君で……しょ?」

私を抱きしめた和君の手は、誰よりも暖かくて。

「柚姫。ごめんな。守ってあげられなくて。」

和君が謝る事じゃないんだから、謝らなくてもいいのに、和君は私に何度も謝ってきた。

和君が助けてくれたから、私はもう、大丈夫。





もう、



大丈夫…

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