空からの涙
教室に入って荷物を置こうとしたとき、机の中身がないことに気付いた。

今日使うはずだった、国語の古語辞典。

犯人は分かってた。

苺しかいない。

「………和君。」

「なに?」

教室には私達二人。……次の言葉が出ない。……………

…………………………………………………………………………………………………

「古語辞典がない。」

…………………………………………………………………………………………………

やっと出た一言。和君の顔が見れない。

だって、どんな顔をしているか……私にはわかるから。

「柚姫!」

いきなり大きな声で私の名前を呼ぶから、ビックリした。肩が一瞬だけビクッ………って動いた。

「探しに行くぞ。どっかにあるはずだから!」

私の手を握って教室を出た和君。

暖かくて大きな手に私の小さな手は包まれた。

「和君!探すって、どこに?」

引っ張られながら私は聞いてみた。

「そうだな………。まぁ、学校中を全部探せば出てくるんじゃね?」

適当な答えが返ってきた。

最初に着いたのは、学校のゴミ置き場……こんなところにあるのかな……?

でも今は、ためらってる時間なんかない。和君にも迷惑かかるし、

私の古語辞典!
早く出てこーい!

「柚姫!これ……柚姫のか?」

ゴミを周りに散らかして、私に………私の古語辞典を見せてきた。

「それ!…和君ありがとぉ☆」

「よかった………じゃあ、教室に戻ろう。」

私に古語辞典を渡してきた。思わず中をパラパラとめくった。

中は何事もなく、普通。よかった………

「あっ……!和君……頭にゴミ乗ってるよ?」

和君の頭に手を伸ばしてゴミを払った。

「まぁ俺はゴミ、思いっきりあさってたからな……」

「へへへ………アリガトネ…」

自然に顔が笑顔になった。

教室に帰ると、祐芽と悟くんがベランダにいた。

何してんのかなぁ……って思って、ベランダを覗いた。

「ねぇ、悟……。私ッ……苺ちゃんが、許せない。」

「俺も……」

「これから、どうする?悟が決めてよ?」

「………行くか。」

よく分かんない話に私は入り込むきもない。


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