空からの涙
「……それでね?一回、大きな喧嘩があったの。私達のグループともう1つのグループで…。その喧嘩で和詩は人を殺した。」

和君……が…?

私は和君をじっと見ていた。

「……その前の日に、私達のグループいた、綾香と京介……って子がいなくなった。……次の日に見つけたよ。相手側が連れてきた。」

────もう動かない状態で─。

動かない状態って……

「………それを見た和詩はその子達を殺した人を殺した。私達はなんども止めたの。京介も綾香もそんな事を望む子じゃないから。…でも私達は見ることしかできなかった。…気づいたときにはもう、止められなかった。和詩はそれで警察まで行った。私達も一緒に………。」

………涙が止まらなくなってた。皆の過去。私は知らなかった。尋がいない日はあったけど、気にしたことなんてなかったから……。

「……私には和君だけだよ。過去の和君はもういない。今の和君はもう違うんでしょ?だから………………これからも、しっかり前を向いて行こう?」

和君を抱き締める事しかできなかった。

「………私も…………………………一緒に………歩くから」

そのとき初めて、和君の涙を見たような気がした。


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