空からの涙
「頼ってほしいんだよ、俺は………。俺って、柚姫の彼氏だろ?」

「…うん……。」

柚姫の髪をクシャクシャにしてやった。

「もうッ………。」

少しだけだけど、柚姫は笑ってくれた。

でも俺にとってはすっげぇ嬉しいことなんだ。

「じゃっ、学校行きますかぁ……」

立ち上がり腕を高く伸ばす。

「…待って!」

部屋を出ようとしたら柚姫が俺の腕を掴んだ。

「…ん……?」

「今日は……ここにいたい。」

…えぇぇぇッ!?

「学校に行きたくないなら、…家に帰ったら?」

焦り気味の俺。

そりゃ驚くだろ。わざわざココに?だって……………俺も、男だし…?

「嫌………。」

「柚姫……。何で?」

うつむきながら目を泳がせている。

「和詞と、一緒にいたい。」

…でも何で俺ん家?

「もう、一人は嫌なの。一人にさせたくないの。」

「ちょっ!?柚姫!?」

パニックになっている柚姫は頭を押さえている。

「もう、大切な人を失いたくないの………。」

涙がまた落ちていた。

「わかった。柚姫、わかったから………大丈夫だから…」

俺は柚姫を抱き締めることしかできなかった。

涙の訳を聞くこともできなくて、流れる涙を止めることもできない。

「好きなだけココにいていいから………」

そういって俺と柚姫は今日、学校に行かず二人でいた。

柚姫が涙を止めるまで俺は柚姫を抱き締めていた。

柚姫の悲しみが分からないから、少しでも近くにいてあげたかった。

俺は何もできない。




< 70 / 137 >

この作品をシェア

pagetop