空からの涙
「お兄ちゃん?いるの?」

いつの間にか寝ていた俺は雅の声で起きた。

「…んー……」

「お友達来てるよ?柚姫ちゃんだって…。」

柚、姫……?

俺は『柚姫』と言う名前を聞いて、急いで階段を降りた。

「ごめん柚姫!」

玄関に座っていた柚姫に後ろから声をかける。

「大丈夫だよ?私も勝手に来ちゃって……」

少しだけ笑う柚姫。

「いいって!外でよ?」

柚姫は静かに頷いて俺の後ろをついてきた。

「ねぇ、柚姫……。」

家を出てから近くの公園に行った。

「私ッ!!」

でも、そんな言葉も柚姫の声にかき消される。

「……別れたくないよ。」

持っていた鞄を地面に落として、俺の元に飛び付いてきた。

「なんで……そんな事言うの?」

俺は柚姫の頭を撫でながら聞いてみた。

「だって……お母さんに…ッ言われたんでしょ…?」

柚姫は俺が言われた事を知っていた。

「私はッ……和詞の過去が…どうな風でもいいの…。」

「でも俺……」

俺は…

「柚姫に迷惑かけたくねぇよ…。」

「迷惑なんか思ってない!!周りからどんな風に見られても関係ない…。」

柚姫は俺の目を真っ直ぐ見つめた。

「私は、和詞が好きだもん。誰がなんて言ってきても離れたくないよ……」




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