空からの涙
「お父さんは雅が生まれてすぐに、事故で亡くなったわ。」

今まで、父さんがいないのは離婚って聞いていた。

「父さんはね…あんたを守ったのよ。」

…………どういう意味だよ。

「いつか教えようとはしてたから………教えるわ。」

俺は唾を飲んだ。

「大きな交差点で私と和詩と雅とお父さん。4人で居たわ。雅は私が抱っこしていたの。和詩はお父さんと手を繋いでた。」

俺は父さんと繋いだと言う掌を見た。

「その時、蝶が飛んできたの。和詩はね、信号が赤なのも気にしないで蝶を追いかけた。」

…………それって。

俺の顔からは血が一気に引いていくのがわかった。

「ちょうどトラックが来て、引かれそうになった和詩をお父さんは守ったのよ…。」

母さんの目には少しだけ涙が溢れていた。

「俺が父さんを…殺した………?」

「そんなわけないでしょ。お父さんはただ、自分の大切な物を守りたかっただけよ。」

……自分の大切な物。

「お父さんはね、事故に合ってからすぐに亡くなった訳じゃないの。……病院について、意識が戻って3日後に亡くなったわ。」

母さんは引き出しを開けて何かを探していた。

「あった。………その時にお父さんが和詩に残した手紙。」

母さんの手には一枚の紙と一枚の写真があった。




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