あの夏の日の花火
部屋の電気はついているし、友達が言うにはこの時間はいつも勉強らしいから部屋にはいるはず、らしい。

コンっ。
ポコン。

ボンッ!

ってどんどん投げ方も音も大きくなってますけど、大丈夫?

柔らかいものだから、ガラスが割れるってことはないと思うけど、しつこいとかって怒られたりしない?

私がそんな風にハラハラしだした頃だった。
お隣のカーテンが開いて、続いてそのまま窓も開いた。

「夏菜おまえ物を大切にしろって言われたことないか?」
「だーいじょうふだよ!アキ兄が全部拾ってくれるっしょ?」

にまっと笑う友達――夏菜に苦笑いで窓枠や薄い柵に散らばった消しゴムを拾う中途半端なイケメン顔に、この時私は一目惚れした。



イケメンといい切るには微妙。
ブサイクではない。
まあ、カッコイイ?かな?


みたいなのがアキだ。

身長は高いけれどひょろりとしてるし。
瞳は切れ長とかいうより二重でぱっちり。
鼻は低くはないけどシュッとしているかというとそうでもない。
口は大きめ、かな?
ちょっとぽってりかもしれない。

焦げ茶色の髪はツンツン短め。

愛嬌のある顔っていうのが一番しっくりくる。

でもどうしてだか、その時の私にはテレビの中のアイドルやイケメン俳優よりもずっとずっと素敵に見えたのだ。
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