あの夏の日の花火
「結婚、しないの?跡継ぎとか煩く言われない?社長さん」
いったい何がどうしてこんな話題になってるんだか、と思いながらも私はすこしばかり嫌みったらしくそんなことを言ってしまう。
けど、その通りなのよね。
私みたいな庶民とは違う。
向こうは大企業の御曹司。
お嬢様とのお見合いとか、普通にありそうなのに。
三十路直前29才イケメンお金持ち。
とっくに結婚してても不思議じゃない。
「社長じゃない。専務」
似たようなものじゃない。
どうせあと数年もしたら社長でしょ?
もっと年をとったらそのうち会長。
彼――結城俊也の家は大手のお菓子メーカーだ。
と言ってもお菓子メーカーとして一番有名だというだけで扱っているのはお菓子だけではなく食料品全般からアパレルに不動産関係までグループ会社全体を合わせたら扱っていないものの方が少ないくらい。
宝城コーポレーション。
彼の曾祖父であり元の老舗和菓子メーカーであった株式会社結城を一代で傘下100を超える大企業へと育てあげた人物が「宝の城を作る」とそう言って社名を宝城にしたとかいう由来を昔目の前の彼から聞かされた覚えがある。
いったい何がどうしてこんな話題になってるんだか、と思いながらも私はすこしばかり嫌みったらしくそんなことを言ってしまう。
けど、その通りなのよね。
私みたいな庶民とは違う。
向こうは大企業の御曹司。
お嬢様とのお見合いとか、普通にありそうなのに。
三十路直前29才イケメンお金持ち。
とっくに結婚してても不思議じゃない。
「社長じゃない。専務」
似たようなものじゃない。
どうせあと数年もしたら社長でしょ?
もっと年をとったらそのうち会長。
彼――結城俊也の家は大手のお菓子メーカーだ。
と言ってもお菓子メーカーとして一番有名だというだけで扱っているのはお菓子だけではなく食料品全般からアパレルに不動産関係までグループ会社全体を合わせたら扱っていないものの方が少ないくらい。
宝城コーポレーション。
彼の曾祖父であり元の老舗和菓子メーカーであった株式会社結城を一代で傘下100を超える大企業へと育てあげた人物が「宝の城を作る」とそう言って社名を宝城にしたとかいう由来を昔目の前の彼から聞かされた覚えがある。