あの夏の日の花火
唖然としつつも室内を一つずつ確認していく私の後ろでは何故か玄関先で敏也と説明と様子身にやってきた大家さん、不動産屋さんの三人が火災保険がどうとか、マンションの建て替え云々とか、最低一月がどうとか、話をしているようだ。

どうしてその話を無関係の男性にするのか疑問だけれど、大家さんたちにしたら一緒に帰ってきて説明を求められればそれなりに親しい人間だと認識するのだろう。
もしかしたら恋人だと思われているのかも知れない。

こんな時でなければ慌てて否定するところ。
だけど今の私に冷静に話を聞くことができるのかというのも自分でも疑問で。

少なくとも敏也なら必要なことはすべて質問して先のことも確認しておいてくれるはずだ。

そう思えば彼がいてくれて良かったのだと思うと同時にほんの少し気が楽になる。

「詩織。一度部屋を出て食事に行かないか?今聞いたことも説明しておきたい」
「うん」

大家さんたちは、また別の部屋に向かったのだろう。
一人になった敏也が声をかけてくるのに、私は素直に頷いた。
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