あの夏の日の花火
向かったのは近所のイタリアンレストランだった。
ファミレスほど庶民的でもなくかといってさほど高級店というわけでもない。
一人二千円も出せば充分美味しくて贅沢なランチが味わえるお店。  

アンティーク風の内装の店内はお昼を少し過ぎているからか、お客の姿は二組しかなかった。
ランチ時は行列もできるお店だから、ちょうどうまい具合に空いている時間に当たったということだろう。

その代わり、ランチは終わってしまっていたけれど。

ガッツリ食べたい気分ではなし、セットが終わっているだけで単品はあるしサンドイッチはパンケーキといったメニューもある。軽く食べるだけなら充分だし、ここはテーブルとテーブルが適度に離されていて一席ずつ仕切りもされているので隣席をさほど気にせずにゆったりできる。

落ち着いて話ができる環境を模索した結果、この店になった。
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