あの夏の日の花火
確認をした資料はだいたい2/3ができたところ。
思わず「今日までだってわかってるよね？」ときつめに言ってしまった私に彼女は、

「えー？でも会議は昼すぎですよね？だったら明日の午前中に仕上げればいいかなって」
「部長のチェックもあるし、明日は別の仕事だってあるでしょう！」

へらりと笑える神経にある意味感心する。

彼女に仕事を頼むと大抵毎回この調子だ。
これでよく社会人が務まるというものだけど、私と彼女とは立ち位地がそもそも違う。

私はただの一社員で彼女は縁故入社。
大事な取引先の専務のご令嬢だ。
うちにいるのはちょっとした社会勉強ってところ。

皆遠慮があって強くは叱れない。
その分大事な仕事も回さない。
失敗しても部内のフォローでおさまるそういった仕事ばかり。





　
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