あの夏の日の花火
「PCの打ち込みはすみましたから、もう上がっていいですよね？」

あとはプリントアウトするだけだし、急ぐんで。

パタンとノートパソコンを閉めて言う後輩ちゃんにイラッとしそうになるけど、ここで怒ったところで後で渡部さんに愚痴られて終わりなのだと予想はつくから、私は一つ息を吐いて自分を宥めてから、「いいよ」と答えた。

いても大して役にも立たないしね。

そんな嫌みを頭の中で付け加える。


後輩ちゃんが打ち込んだPCの資料をプリントアウトしてコピーした束と一緒に人数分仕分けしてまとめてクリップで留めていく。

それを部長に確認してもらってから、自分のデスクに戻った頃には渡部さんと後輩ちゃんの二人はとっくにいなくなっていた。

ちらっと壁の時計を見ると針は7時過ぎを指している。
もうしばらくしたらここにも花火の音が聞こえてくるかもしれない。
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