大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
1. ソーダアイスに弱い
靴のにおいが充満する下駄箱で告白する気持ち。
私にはあまり理解できないことだけど、下駄箱の隅の方が死角になることと放課後の帰宅ピークがすぎれば人がほとんどいなくなることを考えれば、まあ頷ける部分はある。
だけど、そう。
「……あの、きてくれてありがとう」
「うん。ちょうど帰るところだったし」
例えば、どこかの少女Aの告白の相手が、自分のよく知る男だったら、頷ける部分があるにしても、なんとなく気まずいものだ。
下駄箱によりかかりながら、ゆっくりと息をはきだす。
これで、17回目だ。
何がって、
「わ、わたし、朝比奈くんのことがずっと好きで、」
「あー、うん」
「それで、もしよかったら、付き合ってくれませんか?」
幼なじみの、朝比奈 千尋が、告白されているのを聞くのが、だ。
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