大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「なんで?下駄箱でいーじゃん」
千尋は別にいいかもしれないけれど、毎度毎度、告白を聞かされる私にとっては苦でしかないんだよ。
たぶん18回目なんてすぐにくる。
頭に触れている千尋の手から逃げて、彼を見る目を意図的に細めると、むっとしたのかその唇がすこし尖った。
「何回も告白聞かされるこっちの身にもなってよ」
「あー、いたの?」
「いたって知ってるでしょ?ばか」
「うん、知ってるけど」
「けど、じゃないの」
「じゃあ、なに。ちゃんと言わないと分かんないんだけど」
本当に千尋にとっては何でもないことのようで、何がそんなに不満?みたいな目で見てくるから、あきれてくる。
何が不満って、言葉にするには少し危なくてうまく伝えられる自信がないから、悔しいけれど、待ち合わせ場所は変更できなさそうだ。
「……もういいよ、帰ろう」
お互いに腑に落ちない顔して目を合わせれば、突然、千尋の指が私の頬に触れて、きゅっと微力でつねられた。
不意のことだったから、目を見開いて、千尋の指に手を伸ばして抵抗してみるけれど、千尋は離す気がなさそうで。