大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
今度こそ、全面に不機嫌を出してみたのに、くすり、と笑われる。
そういう馬鹿にした態度が大嫌いなんだよ。
右足で、千尋の足を蹴ったら、余裕な顔がすこしゆがんで、ざまあみろ、なんて気持ちになる。
でも、それで終わらないのが千尋で。
頬をつねる指は離してくれたけれど、何かよからぬことを考えてそうな笑みで見下ろされるから、ドキリと心臓がはねる。
「虹が俺の告白聞きたくないのってさ、」
「……、」
「僻みじゃないの?」
「そうだよ!ばか!」
……よかった。千尋がそう思ってるなら、それに越したことはない。
怒ったふりをして、
本当はほっとしていること。
千尋には気づかれたくないから、千尋をおいてさっさと靴をしまいにゆく。
「虹、今までで好きになってもらえたの一人だけだもんな、」
「…………」
「ごめんね、俺だけモテちゃって」
うざったい千尋の挑発なんて、無視だ、無視。