大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
いま、線香花火の光と一緒に落とした言葉は、きっと千尋にはうまく伝わらなかった。
そんな予感がする。
もしくは、伝わってはいるけれど、私の好意なんて受け取りたくはないという気持ちからのその冷め切った表情なのか。
分からないけれど、今、千尋がいい気持ちをもってないのは確かだ。
しばらく、じっと私を見ていた千尋は、私の手から使い終えた線香花火をとって、バケツに放り込んだ。
それから、しゃがみこむのをやめて立ち上がる。
虹、と私の名前を呼ぶ。その声は、掠れていた。
私はしゃがみこんだまま千尋を見上げる。
そうしたら、何を考えているのか分からないどこまでも冷めた表情のなか、千尋が口を開いた。