大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





「千尋、髪型かえた?」



千尋は細長い指で自分の短い髪をすくって、変えたよ、と言った。

千尋の髪。
じっと観察する。


髪色は色素の薄い黒色のままだけど、ちょっと長めのマッシュウルフだったのが、ツーブロックで、前髪はセンター分けに変っていた。

好青年とはちょっと違うけれど、もともと中性的で端正な顔をしている千尋にはとてもよく似合っていて、本人には言わないけど、やっぱりかっこいいなと思った。




だけど、私が覚えてる限り千尋は中学生の頃からずっと髪型はマッシュウルフだったからどうして突然変えたのか、少し気になるるところではある。

少しくせっ毛の髪のうねりが、今の髪型ととてもあっているからイメージチェンジは大成功しているわけだけど。




「……なんで変えたの?」

「え、なに。似合ってないって遠回しにいってんの、虹」

「違う違う。だって、ずっと同じ髪型だったじゃん」

「あー、なんか、百瀬にこの髪型似合うよっていわれた」

「そうなんだ、うん、似合ってるよ。確かに爽やか」




爽やかってさっきの女の子の言葉をわざと使ったら、うるさいな虹、って軽く頭をたたかれる。


似合ってるっていってあげたのに、まったく礼儀がなってない。




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