大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
夏休み後半、私は千尋の向かいの家に住んでいるのに千尋と会えなかった。メッセージで誘っても、断られつづきだったはずだ。
その時期にそのこと話すようになったの?
学校もないのに?
それに、千尋が女の子にすすめられた髪型にするなんて、ちょっと、今までの女の子への接し方を見ているとにわかに信じられないことで。
「虹?」
千尋が、不審そうに私の名前を呼んだから、なんでもない、の意味をこめて急いで首を横に振る。
「どんなひと?その、百瀬さん、だっけ」
「…どんなとかは、わかんない」
「…なんで仲良くなったの?」
「いろいろ。ちょっと虹には言えないけど」
「クラスで隣の席だったとか?あ、委員会?」
「………、」
「他に仲良くなるきっかけってある?」