大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





――髪型。やっぱり似合ってるけれど、前の方がいいよ。




なんて。



そういうことを言うのは絶対に違うって、口に出す寸前で理性がうまく機能して唇をぎゅっと丸めこむ。

だけど、今そう思ってしまったのは確かだった。




夏の終わりのひんやりとした風が、髪をゆらす。

たぶん、風に紛れて、悪魔がいま心を通り抜けたと思う。





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