大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】













「虹、電子辞書貸して」




学校が始まって数日たったある日の休み時間。

自分の席でぼんやりしていると聞き慣れた声がして、ぼんやりした顔のまま視線を声の元に向ける。




「千尋、」

「うん、俺。次の授業英語なんだけど、電子辞書忘れたから虹の貸して」




授業の合間に千尋が私に会いに来るなんて珍しいから何事だと思ったら、そういうことだったらしい。


お願いって手を合わせる千尋に、軽く頷いて引き出しの中をあさる。




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