大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】




「そんなさ、ドンピシャ、みたいな顔されても俺が困るよねー」

「え、」

「冗談。てか、名前なに?」

「あ、えっと、…枢木虹、です」




くるるぎ、って目の前で言葉を転がすみたいに名前を復唱される。


すーと通った鼻筋ときれいなアーモンド型の目。感じはあんまりよくないし、ちょっと苦手かもしれない、なんて思いながらも、彼が千尋と同様、女の子に人気なんだろうな、ということはなんとなくやっぱり分かる。



「水嶋くん、だよね?えっと、千尋に前聞いたから…」

「うん、そう」

「…千尋と仲いいの?」

「ふつーに仲いーよ」



ちょっと間延びしたような話し方。
とらえどころがない感じだけは、すこし千尋に似ている。



そこで、ふと、千尋が言っていた“百瀬”さんの存在を思い出して、水嶋くんに聞いてみようかと思ったけれど、なんとなく綺麗な瞳の奥でひとの弱みを見透かしたような色がさっき見えたから、名前をだすのはやめておいた。




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