大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
じっと私を見ている水嶋くんがいて。
なに?と首をかしげてみたけれど、それには答えてくれず、そのまま水嶋くんの視線は流れるように千尋へいく。
「朝比奈―、」
「なに」
「枢木ちゃんと付き合ってないんだよなー?」
「…うん、何回も言ってるじゃんそれ」
「好きなやつもまだ、いないまま?」
「うん」
「朝比奈、」
「だからなに?水嶋」
ゆるりと、視線がまた私に戻る。
本当に何を考えているのか分からなくて、もしかしたら何も考えてないんじゃないかって思えてくる。
それから、水嶋くんはつかめない表情のまま、口元に弧を描いた。
「最近なんか暇だし、俺、ねらっていー?」
……何を、だ。