大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】











「perceive」

「知覚する?」

「liberal」

「んー、と、あ、自由な」

「premise」

「なんだっけ、忘れた。じゃあ、今度俺の番ね、」

「premiseは前提だよ。わたしは日本語を英語に直すのがいい」

「おっけー。範囲、規模」

「scope」

「損害、損傷」

「えっとね、んー、harm?」

「うん、正解。てか、やっぱクラス違っても授業進度って割と同じだな」

「そうだね」





その日の帰り、英語の問題をだしあうなんて意識の高そうなことをなんとなくやりながら、家までの道を並んで歩いていた。


何気ないこういうやりとりも、心地が良かったりする。




信号が赤になって立ち止まると、虹―、と隣から名前を呼ばれたから、顔をむける。



千尋の顔は穏やかで、何を言われるんだろう、なんて考えることもなく、首をかしげる。




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