大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
そうしたら、
「今日のうちに言っとくけど、俺、明日、一緒に帰れない」
何でもないことのようにそう言って、ごめん、と付け加えた千尋に思わず固まった。
今、復習していたはずの英単語がぱらぱらと頭からぬけていく。
心地よさも一瞬でどこかに消えて、心臓が不快に浮いた。
今まで帰れないなんてそんなことは言われたことがなくて。
たとえどちらかに委員会や補修があっても、終わるまで待っていて一緒に帰っていたから、帰れないなんていきなり言われても、状況がいまいちつかめない。
一緒に帰るのが当たり前で、帰ろう、と誘うことはなかったけれど、そっか、帰れないときは断りをいれるんだ、なんて当たり前のことをぼんやり思いながら、無意識にうん、と首が縦に動く。