大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
なのに。
「ちょっと待って、虹」
ふいに呼び止められて、手首をつかまれる。
振り向こうか、振り向かないでおこうか迷って、振り向かなかったら、ちゃんとこっち見て、と腕をひかれて、渋々振り向いた。
「なに、」
「いや、そういえば、今日帰りに言おうと思って言い忘れたことがあって、」
「…なに、千尋」
視線をゆっくりとあげると、そこには、複雑な顔をした千尋がいた。
それから、私の手首をつかんだまま、千尋が口をひらく。