大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
なんで枢木さん?ってどこかの女の子の声が耳に届く。
確かになんで私なんだ、と思いながら、返事をできないでいたら。
「枢木ちゃん、聞いてる?お昼誘ってんの、俺」
距離をつめるようにわずかに顔を近づけてきたから、条件反射みたいに身体をのけぞらせてしまう。
それから、こくこくと頷いたら、また、ゆるく笑われた。
聞いてるよ、の頷きであって、一緒に食べるのを承諾する頷きではなかったのに、水嶋くんが、ありがとー、と間延びをするように言ったから、急いで首を横に振る。
「あ、違うの。ごめん、お昼は、あの美優と食べるから…」
ねっ?と同意を求めるように、隣の美優に顔を向けたのに、なぜか美優はにやっと何か企んでいるような表情をしていて。
それから、私から目をそらしたかと思ったら、水嶋くんに向かって口を開いた。