大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「実は用事あるから、今日、虹と食べれないんだよね私」
「え?!」
「だから、水嶋くん、虹のことお願いしていい?」
さっきは、ご飯食べにいこうって言ったら、うんって頷いてたくせに。
白々しい嘘に加えて、水嶋くんに私のことを頼むなんて。
水嶋くんは水嶋くんで、いいよー、とゆるい返事をして、えっと美優ちゃんだっけ?と私がさっき断ろうとしてだした名前を確かめるように美優に尋ねて、それに美優は少し頬を染めながら頷いて。
「じゃあ、枢木ちゃんご飯食べよー」
私はといえば、拒否権のない状態に追い込まれて、渋々、いいよって言うしかなくなった。
「せっかくだし、いつもの屋上のとこの階段で食べなよ」
周りの視線を全身に受けている私たち。
主に水嶋くんのせいで。
それを気遣ってか、美優がそう耳打ちしてくれたけれど、正直なところ気遣いならもっと早い段階でしてほしかったよ、と思いながらちょっとだけ睨んだら、美優は肩をすくめてあさっての方を向いてしまった。