大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
はぁー、と隣に水嶋くんがいるのに、うっかり溜息を落としてしまったら、水嶋くん、ちらと私を見て、苦笑いをする。
「枢木ちゃん、感じ悪いねー」
それは、私も水嶋くんに対して思っているけれど、今のはさすがに水嶋くんには何の落ち度もなく、私が一人ですごく感じ悪い態度をとっていたと自覚して謝ったら、いーよとまた間延びした返事を彼はした。
「…あの、えっと、誘ってくれたのは、ありがとう」
感謝はしてないけれど、わざわざ教室まできて誘ってくれたことに対しては、お礼を言うのが常識だと思って一応そう言ったら、ぽん、って肩を軽くたたかれて、ゆるりと可笑しそうに目が細められる。
「そんなさー形だけのお礼いらないから、美優ちゃんとのお昼なのに何してくれてんのー?うざいんだけどー、くらい言っていいよ」
「そ、そんなこと思ってないよ!」
「へー、俺だったら思うけどなー、大して仲良くない女にいきなり誘われたら、めんどくせーなこいつ、って」
そんな風に、ね?って、首をかしげられても困る。
あいまいに笑い返しながら、やっぱり水嶋君はつかめない人だ、と思った。