大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「…鮭のおにぎり好きなの?」
おにぎりを頬張る水嶋君に尋ねたら、彼はゆっくりと頷く。
「無人島にもってくなら、これ五億個とかがいい」
「でも、それたぶん途中で腐っちゃうよ、五億個とかあったらほとんど腐らせて終わりそう」
「あー、確かに。枢木ちゃん頭いーね、そういうの考えてなかったわー」
なるほどーと言いながら、また鮭おにぎりを食べだした水嶋君に思わず、ふ、と笑ってしまった。
それから、はっとする。
今、普通に会話して普通に笑ってしまったけれど、まずもって、これはイレギュラーな状況で。
ここで美優以外の人といることも、それが水嶋君という千尋の友達であることも、改めて考えたらほとんど違和感しかない。
そういうのを気にしないで一緒にご飯を食べるのは心地いいものではないから、思い切って聞いてみることにする。
「水嶋君、」
「んーなに、」
「…煮え切らないから聞くんだけど、」