大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「――なんで私なの?」
ねらっていー?ってこの前の水嶋君の言葉。
いわれた直後は何をねらうんだって思ったけれど、よくよく考えたらそれがどういう意味なのかは鈍感じゃないから分かる。
それから、今日お昼ごはんを一緒に食べようって誘ってきたことも。
ねらっていー?の延長線にあることなんだろうというのは察することができるけれど、そもそもたくさんの女の子がいて、その中には水嶋君に好意をよせる女の子も確実にいて、それなのに、どうして私なのかは不思議で仕方なかった。気まぐれといえばそれまでだけど、何か理由があるなら教えてほしかった。
水嶋君は私にそれを改めて聞かれるとは思ってなかったんだろう。
とろんとした瞳がはっきりとした輪郭をつくる。
それからおにぎりを一度、膝の上に戻した。
「毎日暇だからって言ったじゃん」
「………、」
そんな納得できない理由だけで人の日常に波をたたせるなんて、と想定していた答えではあったもののむっとしてしまう。
だけど、水嶋君はそこでは終わらず、さっきのようにゆるくは笑わずに付け加えた。