大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
そうしたら、
『ーー虹、俺、彼女できたよ』
突然の言葉に一瞬すべての思考がストップしたけれど、もう一度言われたことを頭の中でなぞれば、心の奥から祝福の気持ちがわいてきて、みるみるうちにそれは私の身体を満たしていった。
今日苦しかった気持ちも、少しだけ消してくれるようなその報告に、私は、「おめでとう、」と丁寧に心からの気持ちを送ったら、千歳君は嬉しそうに、うん、と返してくれた。
「この前言ってた人?」
『そうだよ。昨日、俺が告白した』
「わ、さすがだ。千歳君に告白されたら断る人なんていないと思う」
『そんなことないよ。でも、うん、うれしい。虹に一番に報告したかったから』
「…ありがとう、千歳君。わたしも、すごくうれしい」
うれしい。
幸せになってくれて、それを一番に報告してくれて、ありがとう。
恋愛感情はないけれど、千歳君の幸せを願っているから。それは罪悪感を抱いていた時から変わらない。
私の知らない未来がこれからその人との間で生まれるんだって思ったら少しだけさみしいけれど、それはなんだかお兄ちゃんの手を離すようなさみしさと同じ形をしている。