大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
それから、詳しい話をじっくりと聞いた。
途中、幸せそうな千歳君の声がオルゴールみたいに私の睡魔を誘ったことは内緒だけど、とにかくうれしくて仕方なくて、その眠たい心地のなか、ずっと千歳君の話を聞いていた。
それから、夜が少しだけ濃くなって、すべてを話し終えたのか千歳君が話題を変えるみたいに、『虹は、どうなの?』と私の近況を聞いてきたから、途端に千歳君の声はオルゴールではなくなって、ぱちん、と眠気も少しだけ飛んでしまう。
「どうって」
『千尋と。結局どうなったの?』
祝福する気持ちでいっぱいだったのに、その中に苦しさが紛れ込んで、それがじわりと広がっていく。
私のことはいいんだよ千歳君、って思うのに、千歳君に聞いてほしい、って甘えようとする自分もいて。
それで、夜の濃さに正しさもかすんでしまって、後者に手を伸ばすことにした。