大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「告白したよ、私も」
夏祭りの日のこと。
線香花火の淡い光。
記憶はもうすでに苦しさの海の中にある。
どうなったの、って千歳君の声はすこし不安げで、私がいい報告ができないことは、きっともう伝わっているだろう。
「…勘違いって言われた。受け取ってくれなかった、気持ち」
『……そっか、』
「それとね、…千尋が私以外の女の子と仲良くなった」
『え、』
告白を受け取ってもらえなかったと伝えた時には落ち着いて相槌を返してきたのに、百瀬さんの存在を抽象的に伝えたら、電話越しに息をのむ音が聞こえて、千歳君が驚いたということがわかる。
それで、千尋が私の告白を受け取らなかったのは、千歳君の想定内だったのかもしれないってことも。