大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「…千尋のことを好きなのをやめたいし、」
『……、』
「やめたくない。…私の気持ちを知ってほしい」
『……、』
「でも、伝えて離れていったらって思うと嫌だから、このままで、とも思うの」
『虹、』
「……千歳君、私、どうすればいい?」
真っ暗闇では、どの選択肢もひかっていない。
だから、幸せをつかんだ人にすがろうとしてしまう。
怖くて、閉じこもってしまう。
だって花火のきらめきにさえ打ちのめされたんだ。優しさしかくれない。百瀬さんを選んだ後にご機嫌取りみたいなことをしてくる。そういうものをずるいって呼びたいのに、そのずるさに一つの計算もなさそうで、ずるいって思うことすらうまくできない。