大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
目の奥がじわりと熱くなった。
こんな風に千歳君が私に言うなんて、思わなかった。
電話越しでどんな顔をしているんだろう。
答えない私に、千歳君は、虹、ともう名前は呼ばなかった。沈黙を、許してくれた。
千歳君の言葉は優しくなかった。
むしろ鋭くて、厳しかった。
だけど、知ってる。分かってるよ。
それが、本当は、優しさの形をしていることくらい。
千歳君に言われた言葉で、はっとさせられた。
今、落っこちそうな涙は、悲しみじゃない。
自分の臆病なところにぶつかることができたから生まれたものだ。